先日こんな質問を頂きました。
こんにちは!和ごころLAさん。
今、23歳の男です。
大学を卒業し、会社に就職しましたが、今の生活にやりがいを感じられません。このまま社畜として生きるのがつらいです。ずっと憧れだった、アメリカに住みたいと思っています。
仕事はなんでもいいです。皿洗いでもなんでもするので、いい仕事はないですか?
当ブログにもこういったご相談をたびたびいただきます。
アメリカに住みたいと思っている方に必須のビザの話を、移住妻視点でご紹介します。
アメリカで生活するには「ビザ」が必要
アメリカ移住に必要なものは、なによりもまず「ビザ」です。
アメリカに90日以上滞在するためには、ビザ(査証)を取得する必要があります。
日本人が90日以内の滞在で旅行者として渡米する場合は、ビザウェイバー(ビザ免除プログラム)が利用できるため、ビザは不要です。しかし、目的や理由を問わず、90日以上の滞在を希望する方は、アメリカ大使館にビザを申請します。
アメリカ移住する人の渡米理由
当サイトに訪れてくださる方の、渡米理由はこのようなものが多いです。
・駐在員、駐在帯同
・アメリカ留学、インターンシップ、大学進学
・研究留学、留学帯同
・ヨガ留学、資格取得
・海外(現地)就職
・アーティスト、芸能、スポーツ
・ビジネスやお店の海外展開
・国際結婚による海外移住
・永住権の当選
・ミリタリーの異動
などなど。
日本人に取得の多いビザ
日本人によく取得されているビザや、私の周りに多いビザは、次のとおりです。
- 学生ビザ(F-1・M-1ビザ)
- 研修ビザ(J-1ビザ)
- 就労ビザ(H-1Bビザ)
- 管理職ビザ(E-1ビザ)
- 投資家ビザ(E-2ビザ)
- 駐在員ビザ(L-1Aビザ)
- アーティストビザ(O ビザ)
- フィアンセビザ(Kビザ)
- 永住権
など、どのビザが適しているかは、人によって異なります。
働いて収入を得ることができるビザ
数あるビザの種類の中でも、アメリカで働いて生計を立てたい人は、就労許可のあるビザが必要です。
アメリカには、オーストラリアやカナダで採用されているようなワーキングホリデーという制度はありません。ビザ種類によっては、働ける会社が決まっており、職業選択の自由があるのは、永住権のみです(市民権限定の職種を除く)。
そのため、どんな仕事でも、たとえそれが皿洗いであっても、適した就労ビザがないとお金(給料)を受け取れない法律になっています。不法就労をしてしまうと、2度とアメリカに入国できないなど厳しい状況になります。
つまり「アメリカでお金を稼いで生活したい」ということであれば、「就労ビザ取得」を目指すことになります。
就労ビザ取得のためには、簡単に分けると3パターンあります。
- アメリカ現地企業に採用される(現地採用)
- 日本企業から派遣される(駐在員)
- ビジネス買収によりビザ取得(起業)
芸能人などはアーティストビザなどがありますが、一般人は通常、就労ベースになると思います。そのためビザスポンサーを探す必要が出てきます。
就労ビザは、誰でもできる仕事のボジションでは簡単には出ません。外国人が簡単にアメリカで就労してしまうと、アメリカ人の就労機会の損失につながります。そのボジションが、あなたにしかできないことを証明する必要があるというわけです。
その点でいうと、「皿洗い」という仕事は、誰でもできる仕事なので、ビザ取得の対象ではありません。
最近では”日本人の寿司職人”であっても、就労ビザは取りにくいです。今はアメリカ国内に寿司学校があり、日本人じゃなくても寿司シェフになれるからです。
アメリカ現地企業に採用→就労ビザ取得
私はアメリカの現地企業に採用してもらい、就労ビザを取得しました。上記の内容を聞くと、かなりハードルが高いのは現実ですが、会社規模や弁護士さんの手腕によっても、取得可能率は上がると思います。
企業側は、ビザをスポンサーできる枠がある程度限られるため、就労前から、就労ビザを発行するような会社はほどんどないです。まず、インターンシップや、OPTで仕事ぶりを確認してから、ビザ取得手続きになります。人脈をつくっていけば、可能性もゼロではありません。
駐在員の金銭的メリットは大きい
永住できるかはわかりませんが、まず海外で働いてみたいという思いがある方は、最初から海外駐在員枠の求人に応募するという手もあります。
やはり理由は、「金銭的メリットが大きい」ためです。現地企業就職の場合、ビザと引き換えに労働条件が悪くなることは多いです(日系企業はとくに)。
私の出会った駐在員家庭は、
- 日本とアメリカのダブル給料
- 健康保険自己負担なし、十分な福利厚生
- アメリカの高額な家賃負担なし
- 車なども支給される
- 子供の保育園の費用なども会社負担
など、条件が良い企業に就職できれば、現地民としては、うらやましくて仕方がない待遇です。
アメリカで、ローカル従業員が多い会社の場合、「残業ほぼなし(9時ー5時退社)」「付き合い飲み無し」で、家族との時間もたっぷり取れます。
海外で生活してみたいけど、絶対ココ!という地域限定がなければ、駐在員の待遇は良いと思います。
起業:ビジネス買収によるビザ取得
ある程度(約3000万円以上)の資金がある場合、既存ビジネスの買収等を行うことで、就労ビザ(E-2)を取得することもできます。こちらは、日本とアメリカの関連する事業や、現地従業員の採用など、様々な規約があります。移民弁護士さんに相談してみてください。
留学生のキャンパスジョブ
留学生の場合、基本的に就労不可ですが、就労可能な許可がとれる場合は、時間制限などがありますが可能です。私も以前キャンパスジョブをすることになり、通っていた大学の事務のバイトをしました。納税義務はありませんが、SSNが発行できたので、その後のクレジットスコア構築には役立ちました。
就労ビザ取得の厳格化
旧トランプ政権下でとくに強い移民政策が行われ、従来よりも就労ビザの取得は厳しくなりました。当時は「アメリカ人の仕事・給料・安全を優先する」「アメリカでの成功の可能性があり、経済的に自立している人を選ぶ」などの考えをもとに、移民数を制限する方針が強くなり、J ビザの発行が一時ストップしたり、Hビザの給与指定が高額になったり等がありました。現在も、Hビザは抽選制度がとられています。
また、不法就労などのチェックも厳格化。ビザの申請書類のなかに、SNSのログイン情報をいれることになったため、SNSに投稿された内容から、不法滞在や労働、アメリカ人との結婚の意思に疑惑がかけられて別室送りになる方もいます。一時帰国して再入国する際に、イミグレで携帯を確認されるケースもよく聞きます。
永住権の取得
ビザのように滞在期間や就労制限がない、永住権(グリーンカード)を取得する方法は、
- 米国市民や永住権保持者との婚姻ベース
- 雇用ベース
- 自己申請ベース
- 一年に一度の永住権抽選
大昔は、ハガキを出せば永住権が取得できたという時代があったそうですが、現在は政治的な背景もあり、永住権の取得までのプロセスが非常に長く、審査も厳しくなってきています。
アメリカに住みたい、一発あててアメリカンドリームを掴みたい!と思っても、外国人である以上は、そのスタートラインに立つまでが、簡単ではありません。
婚姻ベースの場合、取得までの期間は、1年ほどですが、雇用や自己申請の場合、数年かかかることもあり、それまでのビザをどのようにキープするのかも課題になります。
そのような事情から、ワーキングホリデー制度のあるカナダやオーストラリアよりも、海外移住先の候補に上がりにくいのがアメリカです。難関に思えるアメリカ移住ですが、移民に対しての門戸が完全に閉じられているわけではありません。
毎年ダイバーシティビザプログラム(Diversity Visa Program・通称 Green Card Lottery)という名のもと、移民数が一定数以下の国籍の方に、永住権の抽選を行っています。そして、日本はその対象になっています。(※毎年要確認)
私の周りには、永住権抽選に当選して移住してきた方も意外と多いです。DV-2022の日本人当選者はなんと510名。いつか移住したいと思っている方は、応募してみると良いかもしれません(応募は無料で、例年秋に開催)。
私の周りにも、永住権申請に当選したという方がいますので、永住権応募だけでもしておくと良いかもしれません(応募は無料で、例年秋に開催)。
そのほか、アメリカのビジネスを買収することで、E-2ビザ(投資家ビザ)を取得。その後、永住権申請というルートを辿る方もいます。資金がある方は、そういったビザも検討してみてください。
結婚による永住権の申請:体験談
日本居住者が、アメリカ人と結婚し、米国で暮らすためには、フィアンセビザ(もしくは永住権)を申請します。期間は、政治状況等にもよりますが、1年ほどかかるといわれています。
その間、アメリカと日本の遠距離恋愛になるのですが、長期間離れて生活すると、関係性が変わってしまうカップルが多いようです。私の友人も、ビザ申請中に婚約破談になりました。ある意味、二人の絆が試される期間と言えるかもしれません。
私は就労ビザ取得後、アメリカ人夫との結婚により永住権に切り替えました。
移民手続きには費用や時間がかかりますし、偽装結婚ではないかの確認のため、面接では非常にプライベートな質問もされます。アメリカ人同士であれば、必要ないプロセスが発生するため、パートナーに「外国人との結婚」であることへの理解をしてもらう必要があります。
専門家に依頼せず、自分で永住権申請することも可能ですが、間違いや書類のミスで、手続きが遅れたり、喧嘩の原因になるため、弁護士や専門エージェントなどの第三者をはさんで申請するほうが、配偶者の理解も得られるのでおすすめですよ。
非移民ビザ面接体験談
ビザを申請すると、アメリカ大使館で面接を受ける必要があります。面接といっても、カウンター越しの質疑応答です。面接時の英語力はさほど重要ではなく、駐在員・帯同ビザなどは、問題なく通っておられる方がほとんどです。
不安な方は、アメリカ大使館の公式YouTubeで、「アメリカ非移民ビザ面接の手順」というが公開されているので、ぜひチェックしてみてください。
心配なケースは、書類の不備、申請する会社の問題(売り上げ・規模など)のほか、申請者がビザの規約以外の就労を行う可能性(米国市民の仕事が奪われるため)や、ビザ期日を超えての永住意思が疑われる場合です。
私自身、学生ビザから就労ビザに切り替えたとき、疑われていたのかはわかりませんが、審査結果が出るまで9ヶ月がかかり、大変な思いをしました。
学生ビザの場合は、ご自身で申請が可能な場合もありますが、就労ビザの申請や、一度落ちたことがある方は、専門の移民弁護士に相談されるのをおすすめします。
一度でもビザが落ちる、強制帰国や別室送りになった経験がある、一日でも不法滞在期間があった等は、のちのビザ申請に大きなダメージを与えます。数年間にわたって再入国が困難になるケースがありますので、慎重に申請されてくださいね。
アメリカに住みたい!アメリカで生活するには「ビザ」が必要:まとめ
上記のとおり、アメリカに住みたい!アメリカで働きたい!とおもったらまず、「就労できるビザ」の取得を目指しましょう。資金も時間もかかるので、準備は早めに動くのをおすすめします。