下記の内容は、2016年に実際に起きた実話です。
近年、アメリカのビザを申請した人が、Administrative processing(追加手続き)を受けるケースが多く発生しています。自身の体験をもとに、同じシチュエーションになった方達への、お役にたてればと思い記事に残しました。
日本大使館に、米国ビザを申請した話
トランプ政権時に移民政策が厳しくなったため、年々米国のビザ取得が厳しくなっていると聞きます。私の周囲のケースでは、アメリカをすぐに取得てきた人、落ちた人、かなり待ったという人がいます。ひとむかし前は、取得しやすかった米国ビザですが、現在はさらに厳しい審査になってきています。
最近よく聞く、ビザが「落ちた」ケース
私のまわりでは、Hビザ、Eビザ、Oビザ、Fビザ更新が落ちたという話がありました。
ビザを落ちると辛いのは、弁護士費用やキャリアのチャンスを失うこと、また、今後アメリカに簡単に入国できないリスクがあることです。アメリカで過ごしたいからこそ米国ビザを申請している人も多いので、それはかなり大きなショックだと思います。(荷物を引き取りにも来れない・・・)
落ちた場合は、理由は大使館から説明があるはずですが、アメリカ人よりもあなたを採用する強い理由を証明できなかったり、学生ビザを延長しすぎていてる、不法就労の疑いなどがあります。提出書類をごまかしていたり、不法就労などの違法行為が認められると、ビザが取得できないだけでなく、簡単にアメリカに入国できなくなります。(以下参照)
就労ビザの場合、サポートしている会社の規模や経営状況も関係するため、一概に個人理由とは言えません。しかし、Hビザはまず抽選があり、それに当選した人が申請に進めるので、最終審査で落ちてしまうのは非常に残念なことです。
最近よく聞く、ビザの「待った」ケース
実際には、最初の面接でいきなり「あなたは落ちました」と言われることは、少ないようです。(よほどにNG答弁例:アメリカに移住したい!とかアメリカ人と結婚したい!と言わない限りは…)
最近の多くは、追加手続き「Administrative processing」の状況になるということ。
最近はこのケースが非常に多いようです。
要するに、大使館の数分程度の面接の時点で、「 OK」とも「NG」とも言い切れない状況(さらに調査が必要)というときに言い渡されるものです。
【実際に提出すべき書類が欠けていた場合】
面接終了時にわたされる紙に、追加で必要な書類が書いてあるので、それを用意し提出すればいいです。(email or FAX)
→例:Fビザ(学生ビザ)取得の際(とくに更新の場合)
過去の学校の成績証明書や、出席の証明書を追加で提出するように言われることがあります。
【そのほかの疑いがある場合】
やっかいなのは、追加書類だけじゃない場合です。
大使館は、
*アメリカに永住しようとしているのではないか?
*この申請の内容に、嘘があるのではないか?
ということを疑ってかかるので、そうではないと強く証明できるものが必要になってきます。
その審査は大使館内で行われるので、申請者には連絡が来ません。
そのため、Administrative processingになると、いつ返事がくるかわからない大使館の反応を待ち続けることになります。
最悪なのは、
*アメリカのお役所仕事は、時間が異常にかかる
*日本にある領事館は、日本の祝日もアメリカの祝日も休みなので、もともと稼働日が少ない
*担当者の名前を教えてもらえない決まりのため、問い合わせも時間かかる
(つまり、ほったらかしにされても、担当者不明で問い合わせることができない)
つまり、Administrative processingになると、すごくストレスの高い状態になります。
信じられないですよね。。
待ってるだけじゃだめ!問い合わせしたほうがベター
領事館から、Administrative processingをもらったら、早急にできることは対処し、それがきちんと領事館へ受け渡しがされたかを、確認したほうがいいです。
理由は、もし追加書類を送ったと自分では思っていても、実際には送信エラーなどで届いていなかった場合、だからといって、書類は来てませんと連絡をくれるわけではないからです。領事館のHPには、最大60日待ち、それでもビザがおりていなければ連絡くださいと書いてありますが、60日間も何も行動しないのは長すぎます。
私の場合、追加書類を送って受領されているにも関わらず、数ヶ月たってやっと領事館の人が確認したと返事をもらいました。
本来は、通常は一週間以内にはpendingになったものが、completeになるはずだと領事館からは言われましたが、実際は違ったようです。
11/10/15 | Completed (2/26/16) |
上記のように、面接日から、実際に完了するまで数年から数ヶ月かかっているケースも多々でてきています。東京はどれだけの人が待ちの状態になっているリスト状でわかります!2012年から待ってる人ってどういうこと・・・
※※Administrative processingになって一年以内に指定の書類を提出しないと、その申請は無効になり、一からの再手続きになります。(そのまま放置すると、面接を一度落ちたという意味になるので、以下の「ビザが落ちた場合」の人と同じ扱いになります。ですので、非常に注意したほうがいいです!ESTAでは入国できません!!!)
■大阪の米国大使館でAdministrative processingになった場合は、東京のように一覧では表示されません。
このリンクから、DS-160を作成時についたAAから始まる番号を入力して確認します。
自分より前に何人待っているかわかりません。大阪の大使館は2014年に人材不足によりビザの発給を一時的に受け付けなかった時期があったことが公表されているため、進行が遅いと考えられます。
■福岡、札幌、那覇の場合は、下記から電話して確認します。
https://jp.usembassy.gov/ja/visas-ja/contact-us-ja/
ビザの申請状況を確認する方法
自分のステイタスがどうなっているのか確認し、さらに問い合わせをしたい場合は、チャットを利用し、状況を伝えた方がいいです。(電話ではなかなか繋がらない場合もあるため)
ビザ申請や渡米するためのビザの取得に関するご質問がございましたら、下記の方法でお問い合わせください。ビザ申請サービス・コールセンター担当者が、お電話またはチャットでご質問にお答えすることができます。
https://www.ustraveldocs.com/jp_jp/jp-main-contactus.asp
上記に、
名前:
申請ビザ:
パスポート番号:
誕生日:
面接日:
上記を伝えて、連絡します。日本語での問い合わせもオッケーです。
対応に問題がある、日本のアメリカ領事館
※わたしはこのチャットに、週に1回以上、数ヶ月の間連絡し続けました。それでいて、書類はわからない、進捗は無いなどの繰り返し…でした。領事館内で書類紛失されていたりと、問題山積みでした。
2017年現在で、日本のアメリカ領事館のサイトが新しくなり対応が改良されつつあるようです。数ヶ月〜数年、アメリカ領事館から連絡なく、ビザを保留された方は本当に辛い・不安な時間を過ごすことになります。この記事をSNSでシェアして頂いたり、実際に大使館へ問い合わせされた方から連絡を頂いています。この記事が、少しでも前進のパワーになれていたことが、嬉しいです。
今まで大使館のサイトに無かった、下記の内容が追加されました。
私たちは、ビザ申請者に次のことを約束します。 ビザが許可できない場合でも、敬意を持って対応します。 申請者を個人として、かつ個々の申請をそれぞれ独自ケースとして対応します。 申請者にとってこれが初めてのビザ面接である可能性があること、不安で緊張している可能性があることを理解しています。 限られた面接時間を有効に使い、渡航計画や目的について、できる限り理解するよう努めます。 全ての申請者が、商用、就学、その他の重要な任務のために遅れることなく渡航できるよう、面接予約に際し、可能な限りのあらゆる方法を用いて公平に申請者に対応します。 全ての大使館・領事館のウェブサイトに、ビザ要件および申請手続きに関する詳細かつ正確な情報を掲載します。 全ての大使館・領事館での非移民ビザの面接待ち時間を、https://travel.state.gov に掲載します。 ビザ不許可の理由を説明します。
引用:https://jp.usembassy.gov/ja/visas-ja/
今までの対応をわびる意味でなのか(?)、サイトにわざわざこんな文面が出ていて、驚きました。また、下記記事にも、休日が多すぎると書いていますが、新サイトではビザ課休業日が大きく表示されるようになりました。今後とも、ビザ申請者が、不用意に待たされ、その人のキャリアや人生の貴重な時間を無駄にしないよう、誠意ある対応をお願いしたいですね。
ビザが落ちたら、どうなるのか?
日本の場合、わざわざ観光ビザをとらなくても、アメリカに行けるという条約(ESTA)があります。
これは、日本人だと「そんなの当然じゃん」と思っているかもしれませんが、世界から見ると特別です。それだけ日本のパスポートは強く、信用があります。
申請したビザが落ちた場合、ESTAは使えないので、これまた大使館へ行き、観光ビザを取得せざるをえなくなります。
なにが大変かというと、ESTAが落ちた場合の、観光ビザ申請は、ちゃんとした理由があれば、領事の判断により出るかもしれませんが、
ビザを申請して→落ちた→観光ビザ申請→落ちたとなると、短期間にビザ落ちが二回発生します。
そうなると大変。弁護士さんを使ってお願いしても、なかなか撤回が難しいです。
そもそも、一度ビザが落ちたり、入国拒否になった人は、弁護士さんに要相談です。
アメリカでは、イミグレで別室送りになった記録や、強制送還された記録はいつまでもついてまわってしまうので、ちゃんと撤回できる証明を用意すべきです。アメリカにむりやり入ろうと思っても、入国審査で入れません。
Administrative processingの一文
Administrative processingをもらった場合、下記のような一文がある文章をもらいます。
We cannot take final action on your visa application today.
Therefore, under section 221(g) of the Immigration and Nationaluty Act (INA), your application is refused beached either we need more information from you or your case needs administrative processing. Please be advised that for US visa purposes, including ESTA, this decision constitutes a denial of visa.
つまり、このAdministrative processingの状態は、ESTA上では「却下」を意味します。
こういう風にpendingになっている状態では、アメリカにはESTAで入国できません。
大使館へ手続き中は、パスポートを大使館に預けたままになります。(言わないと返却してもらえません)
また、観光ビザの二重申請もできないので、もしこのAdministrative processingを受けてしまうと、結果が出るまで日本国内から動けない状況になります。
ESTAは使えないってどういう意味?
ESTAを使えないと、具体的にどこがひっかかるかというと、
ESTA登録時に、上記のようなアンケート項目が表示されます。
7)現在または以前に所有した旅券で申請した米国査証が却下されたり、米国への入国が拒否されたり、米国通関手続地で入国申請を撤回されたことがありますか?
ビザが落ちたり、Administrative processingになると、この部分が「はい」になってしまいうのです。
基本的に、ESTAの登録のこのサイト内で、ひとつでも「はい」の条項があるとESTAは通らないので、別途観光ビザを取得する手続きをしてください(領事館に行って)ということになります。
ようするに、領事館が聞きたいこと
領事館が一番気にしているのは、やはり・・・
「あなたは、アメリカに永住するつもりではないのか?」ということです。
アメリカは自由の国だけれど、移民を受け入れ放題というわけではありません。
むしろ几帳面で働くのが大好きな日本人が、たくさんアメリカで働いてしまったら・・・アメリカ人の仕事のポジションを奪ってしまいます。
アメリカ人を保護する観点から、”アメリカ人との結婚”以外では、基本的には移民に対してはかなり厳しいです。
つまり、結婚・婚約者ビザ以外での申請の場合;
「なぜ、あなたがアメリカでわざわざ働く必要があるのか?」をきちっと説明することが必要です。
(なぜあなたじゃなきゃダメなの?ほかのアメリカ人じゃなきゃできないことなの?)
そして最後(Administrative processing→数ヶ月→再面接)の面接のときに、ダメ押しで聞かれた質問はこれ↓
No friend (in US) アメリカに友達いないか?
No family (in US) アメリカに家族はいないか?
No boy/girl friend (in US) アメリカに恋人はいないか?
No fiance (in US) アメリカに婚約者もいないか?
No overstay アメリカで不法滞在していないか?
Did you follow the law? アメリカ滞在時は法律を守ったか?
上記すべて「YES」のほうが好ましいということになります。
返事はNOです。否定形で聞かれているときの、いいえの返事は日本語と逆になります。なので、「NO」と返事するのが正解です!!
最後のDid you follow the law?の返事はYESです。
気をつけたい!気付かないままの犯罪歴
もしあなたが移民である場合、なにかの犯罪歴のレコードがあると、ビザ申請にはネックになります。
※「パーキングチケット・駐車違反」はその限りではありません。(きちんと支払いされていたら数年でレコードが消去されるため)
しかし、まれに学生ビザで来ていて、「もう日本に帰るから、パーキングチケットの支払いをしなくてもいいや!」という子がいるのですが(実際にいた)、安易にこれをするのはおすすめできません。
数年後、たまたま就労ビザを取得する流れになったとき、犯罪歴があるということになることも・・・
パーキングチケットの未払い額が多かったり、事故処理が不十分だった場合、知らない間にそれが立件されていて、犯罪者になっている可能性はゼロではありません。
(実際にあった話)小規模な車の事故をおこし、相手にはお金を払って処理済みだったと本人は思っていたが、600ドル以上の修理が必要な車の事故はDMVに報告しなければならなかった&裁判所から呼び出しがあったが、引っ越ししていて気づかず、数年後に指名手配になっていた…
また、オーバースティ(不法滞在)も気をつけたいポイント。
学生ビザの場合、グレースピリオドが60日ある!と喜んで、最終ギリギリの日に、日本に帰国する人がいますが、こちらもお勧めできません。2−3日早めに出国しましょう。
理由は、日付変更線をまたぐので知らずにオーバーステイしてしまうこと、飛行機遅延が発生して意図しないオーバーステイが発生する可能性があるこことです。
一日でもオーバースティがあると、ペナルティが発生します。(数年〜10年ほどのアメリカ入国禁止)
なんでも記録されちゃうので、クリーンであるほうが良いですよ。
まとめ
米国ビザ申請には、最近は時間がかかるケースが多いようです。
追加書類になった場合は、きちんと必要な書類を提出し、定期的に領事館へ確認を取ることをおすすめします。
自分ひとりで解決できないような場合は、移民弁護士に相談しましょう。