「赤ちゃんを育てるのには、母乳が良い」というのはわかっているけど、出産する前は「母乳はでるのだろうか?」と不安でした。
というのも以前、大阪の助産院のYoutubeで、「生後3ヶ月で母乳育児ができている人は約3割」ときいて驚きました。
7割がミルクや混合ということは、私もそうなるかもしれない…と思っていました。
こんな栄養豊富な先進的な時代なのに、むしろ母乳育児がむずかしくなっている理由はなんだろう。どうすれば、母乳育児ができるだろうか、出産前から勉強してきました。
実際に産んでみると、たしかに最初はかなり大変でしたが、産後3ヶ月には完全母乳で育てることができたので、その体験談をシェアしたいとおもいます。
完全母乳で、1歳8ヶ月まで母乳育児できました!アレルギー無し、熱も出さず、元気です
海外母乳育児:母乳を出すのが難しい理由
アメリカのCDCによると、80%が母乳育児を希望するも、3ヶ月後の完母率は40%程度。しかも、半年後には20%程度に減少と言われています。
原因は、母乳を起動にのせるまでが難しく、諦めてミルク(英語ではフォーミュラという)にしてしまうのが多いためです。
特に、赤ちゃんが上手にくわえること(latch)がうまくいかないと、母乳の開発がすすまず、出が悪いままになり、諦めモードになってしまいます。これを防ぐには、母乳育児のプロ=ラクテーションコンサルタントにサポートしてもらうことです。
海外母乳育児:サプリメンタリー・ナーシング・システム
私が行った方法は、「Supplementary Nursing System」というやり方です。
これは私の出産した病院のラクテーションコンサルタントが、母乳トラブルをもつ人に推奨するやり方です。
おそらく日本ではやっていない・・・のではないでしょうか??
うちの子は出産後すぐに、黄疸治療を受けました。全身で24時間LED照射されるため、より頻繁な水分補給が必要でした。
しかし、産後すぐは、まだ母乳の道が未開拓なので、ほんの少ししかでません。
私は初乳がたくさん出たほうですが、当日は5mlくらいが限度でした。
これでは水分補給ができるほどの量ではありませんので、治療の目的で液体ミルクをあげないといけませんでした。
ミルクを哺乳瓶で飲ませることは簡単ですが、そうしてしまうと、母乳生産のスイッチが入らないし、ベビーも自分で吸うという力をつけることができません。
そのため、赤ちゃんにおっぱいを加えさせながら、隙間にチューブでミルクを流し込みます。
あたかも赤ちゃんが自分で吸っているかのうようにして、吸う力を鍛えさせます。
これ、めちゃめちゃ大変でした!
チューブの先は、よくみると穴があいていて、ここからミルクが出ます。ちょっとずつ押しながら、量を調整しながらあげるので、2人がかりです。(笑)
ひとりのときは、テーブで貼るようですが、赤ちゃんが動くし、難しい!そもそも、チューブを胸との隙間から、口にさしこむのが至難の技。
この方法は、
週に1度、ラクテーションコンサルトに通い、母乳が軌道にのるまで、4週間やりました。
5週目になると、赤ちゃんは自分で上手におっぱいを飲めるようになり、シリンジを卒業。
そこから数回は、ミルクをあげることもありましたが、3ヶ月後には完全母乳に。それからずーっと母乳です。
最初の1ヶ月は、かなり体力的にキツかったです。
この授乳方法は、一回につき1時間ほどかかり、それが2〜3時間おきに発生します。実質、3時間とおしで寝れることなんてありませんでした。
だけど、頑張ってよかったと今は思えます。
同じように母乳開発がうまく行かずに悩んでいる、近くに相談できる人がいない、という方は、アマゾンでこのキットが買えるので、やってみるのも手かもしれません。
パパでもできる!シリンジを使って指でミルクをあげる方法
シリンジ&チューブを利用して液体ミルクをあげる方法は、パパでもできます。
あまりにもわたしが疲れすぎていて、おきていることができず、もう限界(涙)っていうときに、旦那が代わりにミルクをあげてくれていました。
写真の用に、清潔な手袋をした指をくわえさせて、すきまにチューブを入れます。指で吸わせているので、吸う力を鍛えつつ、ミルクを飲めます。
おかげで、3時間通しで寝れた時は、本当に旦那に感謝しました!!!
パパは母乳がだせないけど、こうやって指でミルクをあげた経験は、貴重な体験なので、嬉しかったようです(笑)
海外流・母乳育児のコツ【病院編】
そのほか、私が完母になるために、アメリカの母乳クラスで学んだ方法をご紹介します。
①初期からのカンガルーケア
日本では、「カンガルーケア」と呼ばれていますが、アメリカでは「Skin to skin Contact 」と言われることが一般的です。
赤ちゃんが生まれてすぐ、お母さんの胸の上におき、スキンシップをはかることで、赤ちゃんが母乳場所をしり、よく飲むようになったり、母乳の生産がよくなるという考え方です。(日本では、体温調整や落下の危険性などの理由で、カンガルーケアは危険だとして行わないポリシーの病院もあるそうです。)
私の病院では、少なくとも45分はカンガルーケア推奨ですが、病院や先生によって異なるかもしれません。
出産した部屋で、私と旦那(も上半身裸になって)赤ちゃんを抱っこしました
実際に生まれたてのベビーを胸にのせると、まだ目は見えていないけど、吸うような口をしながら、おっぱいを探す動きをしていました。神秘的で、本能的で、すごく愛おしく感じました。
アメリカのカンガルーケア(Skin to skin)のステップ
1) Birth Cry
産声をあげる
2) Relaxation
産声をあげたあと、赤ちゃんは口を動かさず、手もリラックスしてお母さんにくっつく
3) Awaking
出産後・約3分くらい:頭と肩を小さく押すような動きをする
4) Activity
出産後・約8分くらい:口を動かしたり、吸うような動きをみせて何かを探すような反射をする
5) Rest
休む(どのステージでも、常に発生)
6) Crawling
出産後・約35分後くらい:お母さんのおっぱいにむかってはって進む・すべっていくような動きを見せる
7) Familiarisation
出産後・約40分後くらい:お母さんの胸に触れたり乳首を吸おうとすることで、母親の存在がわかるようになる
8) Suckling
出産後・約60分後くらい:母乳を吸おうとする動きをする
9) Sleeping
出産後は、母親も子供も疲れて寝る
要するに、赤ちゃんは誕生してから、母乳が出る場所を発見するまで、だいたい1時間くらいかかるということだそう。この最初の1時間は、母子にとってもっとも重要な時間です。
アメリカでは父親もカンガルーケアを行う
ママが赤ちゃんの抱っこに疲れたら、パパもSkin to skin(カンガルーケア)をできるだけするように、とのことでした。パパは母乳がでるわけではありませんが、直接肌でふれあうことで、パパとしての自覚がわき、子供にとっても脳の刺激になります。
このせいなのかわかりませんが、うちのベビーはパパが大好き。ママでなくても「ねんね」してくれるので、すごく楽です
②頻繁におっぱいをあげる
最初にでなくても、赤ちゃんがおっぱいを飲もうとする刺激で、おっぱいが出やすくなります。
24時間に8〜12回以上はおっぱいを吸わせようと試みることが大事!
時間制限なく、夜中でもおっぱいをあげる・頻繁にあげることが母乳生産がより楽になります。
最初の数日は初乳がでて、2-4日後には普通の母乳に変化していきます。
赤ちゃんの胃のサイズは、1日目は約5-7ml(小さじ1杯程度)、3日目で約22-27ml、10日目で約60-81mlなので、一気に母乳を飲むことができないため、何度も与えるのが大事です。
実際は、出産後すぐはボロボロで、ほとんど寝れず。こんなに何回もあげることが、大変だとは思いませんでした
③24時間母子同室
私の病院では、24時間母子同室【Rooming-in】ポリシーの病院でした。
Rooming-inでは、母子は産後からずっと24時間一緒の部屋で過ごすというもの。(母乳育児をしない母親でも)
母子同室にすることはさまざまなメリットがあります。
- 子供がおっぱいがどこにあるのか探すことができる
- 赤ちゃんのストレスを減らす
- 赤ちゃんと母親の絆を深める
- 母乳がでやすくなる
- 黄疸が減る
ただ、実際に出産してみると、同じ病室なのはいいのだけど、ひっきりなしに次から次へと検査がやってきて、ほぼ休めませんでした。
④赤ちゃんのおっぱいサインを学んでおく
母乳クラスでは、Crying is his last sign of hunger (おっぱいを求めて赤ちゃんが泣くのは、最終手段)と教わります。
泣く(気がったってしまう)前に気づいて、おっぱいを与える!というのが大事なので、サインを見逃さないようにします。
赤ちゃんは、口をくちゃくちゃさせたり、顔まわりに手が行くのは、「お腹すいたのサイン」です。
⑤赤ちゃんがうまく飲める方法を学んでおく
赤ちゃんが上手にくわえることができることを、英語でlatch on(ラッチ オン)といいます。
上手にあかちゃんにラッチさせるポイントは、
- 耳と肩がまっすぐになるように抱える
- アゴが胸についている
- 鼻が胸についている
- 口が大きくあいている
- 下口びるが外側にむいている(口びるがうちにまきこまれていないこと)
- 赤ちゃんの舌が、乳首の下側にきていること
耳からアゴがうごいていないと飲めていません。
産後すぐは、疲れて集中力もなくて、なかなかこのコツはつかめませんでした。3時間に1度、病室にナースがみに来てくれるので、一緒にサポートや指導してもらいながら母乳をあげました。生まれてすぐはフットボールあげがしやすかったです。
この授乳まくら(ブレストフレンド)は、厚みがあってめっちゃめちゃあげやすい!!!母乳育児のたすけになるので、この枕一択!
海外流・母乳育児のコツ【自宅編】
アメリカでは出産後すぐに自宅へ帰ります。パニック状態になるので、あらかじめコツを知っておくといいですよ。
①おっぱいを出し切る、つまらせない
最初の1ヶ月は、1日に8〜12回以上の授乳または搾乳で、おっぱいを出し切るようにします。おっぱいが空になると、より生産できるようになるので、できるだけ出し切るようにします。
産後1年は、電動の搾乳機は愛用しました!とにかく「吸う」という動きが大事なので、電動はあると本当にラク!
母乳生産が軌道にのる3ヶ月〜は逆に、張りすぎてつまりそうになることも。ハーブティで流れをよくしました。
②おむつの記録して、飲めているかチェック
母乳がきちんと飲めているかを確認する方法は、「体重増加」と「おむつ」です。
母乳で育てる赤ちゃんのおむつは、最初は、黒色(墨のよう)なうんち。(のち3日め4日めは緑色。その後、4日め5日めは黄色へ。最初はつぶつぶっぽかったり、水っぽかったりするようです。もし血がまじっていたら、病院に連絡します)
おしっこは、1日め2日めにホルモンの影響でオレンジや赤色のうんちの子もいるそう。3−4日後には、透明な水のようなおしっこになります。
③おしゃぶりやボトルを避ける
ボトルやおしゃぶりは、乳首混乱の原因になるので、少なくとも1ヶ月をすぎるまでは使わないほうがいい(AAP 2005)といわれています。
理由は、
・ボトルの乳首は硬かったり小さいことが多い
・ボトルの乳首は、赤ちゃんが大きくあけなくなる
・ボトルは連続して出てくる
・粉ミルクは、母乳や初乳よりも粘り気がすくなく、早く口に流れ込みやすい
それに伴い、吸う・飲み込む・息をするという動作が難しくなるそうです。
私は、最初の2ヶ月は、なるべく哺乳瓶すら使わないようにしていました。
哺乳瓶を使う場合は、日本で人気の「母乳実感」と同メーカーの「ランシノー」のボトルを利用しました。メーカーを統一したので、乳頭混乱をさけることができました!
④母乳サポートを受ける
アメリカには、母乳をサポートしてくれる、Lactation consultant(ラクテーションコンサルタント)がいます。これは病院によっては、病棟に常駐するスタッフだったり、地域のスタッフだったり、コミュニティのサポートの中にいます。私のエリアの場合、自宅に来て有料でサポートしてくれる場合と、無料で受けれるものがありました。
ラクテーションコンサルタン)は、指導中にSuck(吸う)とSwallows(飲み込む)のやり方を数えて、母乳が飲めているかをチェックします。さらに、おむつ替え記録や、飲んだあとの子供を体重計にのせて増えているかなどを参考に、指導していきます。
私の病院では、ラクテーションコンサルタントが、病院に常駐しており、入院中は毎日指導にきてくれました。退院後は、母乳が軌道にのるまで、無料で週一回〜のコンサルタントを受けることができました!
⑤胸のマッサージをする
母乳がでにくいと感じる場合は、マッサージも効果的です。
いきなり搾乳機でしぼるよりも、手でマッサージしてから、絞るほうがいいようです。
初乳はとくに出にくいので、マッサージが大事。出たらスプーンでも、シリンジをつかってあげてもOK。
私は、出産後すぐは、ナースがおっぱいをマッサージして、初乳をスプーンですくってもらいました!
▲病院で実際につかったもの。スプーンですくって、カップにいれ、それをシリンジですいあげて、赤ちゃんの口に、ぺろぺろっとなめさせました。
マッサージ方法は、乳首の中心から外・上下をマッサージし、Cの指にして、Press Compress Relax(押して、圧迫させて、リラックス)させる。という方法でした。
⑥栄養のある食事とビタミン
いろんなものを食べて、水をたくさん飲み、できれば、妊娠中にのんでいたビタミン剤も引き続き飲む方がいいと、医師にいわれました。
母乳は、赤ちゃんがうまく吸えるまで練習が必要
ほとんどの場合、母乳がでるかどうかは、最初の数ヶ月で決まるようです。
夫の母は、帝王切開で出産したため、母乳の出がわるく、「自分は母乳が出ない」と思ったそうです。ひと昔まえは、母乳よりミルクのほうが栄養があるという風潮もありました。そのため、吸わせる練習はほとんどせず、ミルクで育てました。ちょっとくわえさせて、出ないとおもって諦めてしまったのです。
そのためなのかわかりませんが、彼はけっこうアレルギー持ちです。そして、お義母さん自身も、「自分でおっぱいをあげてみたかった」と今になって、思うんだそうです。
体質的に出ない人ももちろんいると思います。母乳じゃなかったら、母親失格なんておもいません。(だってみんなあんな大変な思いして産んでるんだから。ミルクだからって、愛情の差があるわけじゃありません。)
ただ、母乳育児は、赤ちゃんがうまく吸えるまで練習が必要(想像以上にスパルタ)ということを、知らずに、すぐに諦めてしまうのは、それはもったいないな、とおもいます。
とにかく3ヶ月は、がんばれば完母になれる期間といわれているので、悩んでいる方は挑戦してみる価値はあるとおもいます!