日本は二重国籍が認められていない国ですが、海外出産の日本人の子供の場合、ふたつの国籍(二重国籍)を持つことが可能です。
日本と海外(アメリカ)の二重国籍は、条件ありで認められている
日本では二重国籍は認められていませんが、アメリカで生まれる子供はどうなるのでしょうか?
法務省のHPは以下のように示されています。
日本は「系血統主義」なので、子供が生まれたときに父または母が日本人であれば日本国籍を取得します。
アメリカは「出生地主義」なので、米国内において生まれた子供は米国籍を取得します。したがって、上記双方の要件を満たしている場合には日米二重国籍となります。この場合、日本側(大使館・総領事館,市区町村役場)に生まれた日から数えて3ヶ月以内に日本国籍の留保意思を表示して出生届を届け出なければ出生時に遡って日本国籍を失います。
つまり、米国籍のみとなります。出典:法務省
要するに、出生届を出して「日本国籍の留保」の届出をすると、日本国籍をキープできるということです。
子供にも日本の国籍を取得させたい
私=日本人、旦那=アメリカ人の場合、アメリカの国籍を取得できるのはもちろんのこと、アメリカにある日本の領事館で手続きをおこなうと、子供にも日本の国籍をもたせることができます。(厳密には、日本国籍の留保意思の提示です)もちろん、日本人親どうしの場合も、子供に日本国籍を持たせることができます。
二重国籍を禁止している日本の法律上は、22歳までに国籍選択しなかった場合は、法務大臣から国籍選択の催告を受け、場合によっては日本国籍を失うこともあり得るとなっています。
しかしアメリカで生活し、周囲の様子を見る限りでは、実際には、アメリカ生まれの人が、国籍選択に迫られるケースは極めて希なようです。領事館の受付の人も、あえて、二重国籍がわかっていても取り上げるようなことはしません。
ただし、アメリカ産まれではなく、大人になって、”あとから”米国籍を取得した人は、二重国籍がバレると、国籍選択を迫られることがあるのは、聞いたことがあります・・・なぜだ!この違い!
私が国籍を二重国籍にさせたいとおもった理由は、
- もしかしたら一家全員で日本で暮らすことがあるかもしれない
- 子供が日本の大学に行きたいと言うかもしれない
- 日本領事館のサービス(日本の教科書の無償配布等)
- 万が一、離婚したら日本に帰るかもしれない
- コロナ渦では、パスポートが複数がると入国制限でメリットがあるかも
など、日本の国籍があれば、ひとつよりもできることの可能性が増え、いいことがあるかもしれない?と思いました。
海外出産の子供が日本国籍を取得する方法
海外出産の子供が日本国籍を取得するには、領事館に出生届を提出することで可能です。
海外で生まれた子供の出生届の提出期限は、生まれた日も含めて3ヵ月以内です。期限を過ぎると受け付けてもらえません。
(前提)日本の婚姻届が提出済であること
日本の手続き上、子供に日本の国籍を持たせるには、父母が婚姻していることが前提になっています。戸籍に反映するまでに1〜2ヶ月かかるので、産まれてから婚姻届を出すのでは、間に合いません!
出していない人は、子供が生まれることがわかったら、すぐに婚姻届けを出しておくのがおすすめ。
国際結婚で、婚姻届を提出するメリットは、本サイトの記事「国際結婚の名前の変更/離婚しても日本の戸籍に傷がつかないってどういう意味?」で詳しく書いています。
私の場合は、アメリカで国際結婚をし、グリーンカードを取得しました。この時点では、アメリカ国内だけの結婚でしたが、妊娠がわかってから領事館で婚姻届を提出(日本でも結婚)しました。
海外の領事館で婚姻届を出すと、新しく戸籍ができるまで1〜2ヶ月かかります。それ以降は、日本の国籍上も、夫婦になっているので、子供が産まれたら3ヶ月以内に領事館に出生届を提出することで、日本国籍がもらえます。パスポートも、新しい苗字で作ることができます。
(1)領事館で出生届の入手
お近くの領事館で、出生届をもらいます。実際に出向く場合は、ついでに、母子手帳をもらい、出生届の用紙と、赤ちゃんのパスポート申請用紙ももらっておくとスムーズですよ!
(2)医師作成の英文出生証明書を入手
出生届には、アメリカの病院で医師作成の英文出生証明書が必要。赤ちゃんをとりあげた医師のサインや、出生時間の記載が必要です。しかし、領事館の方いわく、これを病院から出してもらうのに、1〜2ヶ月時間がかかる場合があるとのこと。間に合うように注意が必要。
**ロサンゼルスの場合は、出産時後に出生証明書を、取り上げたドクターに”手書き”してもらうことで、対応可能です。
詳しくは、海外出産した子供の出生届の提出!アメリカでも日本の戸籍をもたせる方法に書いてあります。
(3)出産後、出生証明書を領事館に提出
1〜2ヶ月後に戸籍に反映されます。
反映後の戸籍を日本から送ってもらい、パスポートも作りました。赤ちゃんの写真撮影は大変でした・・・!
参考:アメリカで赤ちゃんのパスポートを申請する際の持ち物リスト!写真却下になった失敗談
結婚していない場合の国籍の取得
出産時に結婚しいなかった夫婦でも、2008年の国籍法改正で、日本国籍が取得できるようになったようです。
平成20年12月12日,国籍法が改正(平成21年1月1日施行)され,出生後に日本人に認知されていれば,父母が結婚していない場合にも届出によって日本の国籍を取得することができるようになりました。また,虚偽の届出をした者に対する罰則が設けられました。出典:法務省
救済措置としてはあるわけですね。
里帰り出産のアメリカ国籍の取得
逆に、アメリカで出産せず、日本へ一時帰国して出産した場合、子供のアメリカ国籍は取得できるのだろうか・・・という点ですが、どちらかが米国市民であれば、アメリカ国籍を取得することができます。ただし、どちらかが外国人だと居住年数の規定がありますので、事前にチェックしたほうがよさそうです。
参考:出生による米国籍の取得
日本人どうしの結婚の場合、必然的にアメリカで産むことになりますね。私の場合は、グリーンカードの更新時期とかさなっているので、日本への里帰り出産という選択肢はありませんでした。。。
婚姻届の提出方法
私たちはロサンゼルスの領事館(行き方はこちら)へ婚姻届を提出しに行きました。婚姻届の用紙は、前回いったときにもらっていたのですが、領事館に行ってから書くこともできます。
必要書類は、日本人同士か、アメリカ人との結婚かで異なりますので、詳しくはこちらを参照ください。
ポイントは、事前に戸籍謄本または抄本を日本から取り寄せておくことと、カウンティ発行のマリッジサーティフィケートを余分にもらっておくことです。証明書は1部が原本で、あとはコピーでいけます。
領事館を通じて婚姻届を提出すると、1〜2ヶ月ほどで、本籍地(自分で選べる)に戸籍がつくられるようになります。
海外出産の子供が日本国籍を取得する方法(二重国籍)まとめ
アメリカでの出産で、子供に日本国籍をもたせようと考えているかたは、早めに婚姻届の提出をおわすれなく!