アメリカ移住ブログ【リブアメ】、和ごころLAです。
在米者の悩みのタネのひとつといえば、”アメリカの医療費の高額さ”です。
救急車を呼ぶと$2000ドル、義父が頭をうって念の為に救急センターに行ったらそれだけで20000ドル(200万円)、わたしの妊娠出産の費用は$35000ドル(350万円)。
保険に入っていなかったら、ほんとうに目を疑うような請求書が送られてきます。
国民皆保険ではないアメリカでは、無保険者も多く、病院にはめったに行かない・寄りつきたくないと考えている人も多いです。
妊娠に気づいたらすぐに産婦人科に行きたいですよね。
私も、すぐにでも受診したかったのですが、加入していた保険がHMOだったので、どうしてよいかわからず大変でした。
アメリカの健康保険は、日本の健康保険と異なり、制約が多いです。保険の内容によっては、患者が好きに病院を選ぶことがとても難しい。自己負担額も異なるので、自分の保険内容を知っておくことが非常に大事なんです。
※以下の記事は、妊娠だけでなく、希望のクリニックに行きたい場合にも非常に役にたちますよ!!
日本とアメリカの医療制度の違い
日本とアメリカの医療制度の違いをまとめると以下になります。
日本 | アメリカ | |
法律 | 国民皆保険。国民は国の健康保険に必ず加入しなければならない。 | 政府は国民に健康保険に加入するよう呼びかけている(オバマケア)。健康保険の会社は民間企業。 |
内容 | 健康保険証があれば、好きに病院を選べる | HMO:ホームドクター経由で病院が決まる PPO:自由に選べるが、月額が高くなる |
費用 | 自己負担:3割負担 年収400万円(夫・専業主婦)の世帯例で、月額約26000円ほど *年収によって変わる |
自己負担はプランによって異なり、一人当たり、 約6割カバーする「ブロンズ」約$150〜/月 約7割カバーの「シルバー」約$300〜/月 約8割カバーの「ゴールド」約$400〜/月 約9割カバーの「プラチナ」約$500〜/月程度 扶養者、HMO・PPOかによっても月額は異なる *年収によってオバマケア補助がつく場合も |
妊娠 | 妊娠は病気ではないので保険適応外だが、自治体から妊婦健診補助券がもらえる | 通常、妊娠・出産も保険でカバーされる |
補助 | 出産一時金42万円、高額医療費控除、児童手当月15000円、育児休業給付金 など | 州や会社によっては補助をしてくれる場合もあるが、アメリカ全体としては、特になし |
支払い | 受診のたびに支払う | 一案件にたいして、まとめて請求される(妊娠から出産までは一案件) |
※月々の掛け金が高くなると、保証額があがり、自己負担金が減る仕組みです
※会社員の場合、会社が健康保険を負担してくれる場合があります。
アメリカでは、検診の産婦人科と出産する病院は異なる
日本では、妊娠〜分娩まで同じ産院に通い、ずっと診てくれていたドクターに、赤ちゃんを取り上げてもらうのが普通ですよね。私はそういうものだとばかり思っていました。
しかし、分業の進むアメリカでは、違うんですよ!!
アメリカでは、出産するまでは産婦人科のクリニックに通い、分娩時は大きなホスピタルで産むということになっていて、9割の女性がこのスタイルを選択しています。(そのほかの選択肢、バースセンターやホームバースについてはこちら)
▲アメリカ出産は、妊婦健診は産婦人科クリニックで、分娩は総合病院で行う分業制
最初は、その意味がわからず、「そんなことあっていいの?」と不安になりました。
アメリカで妊娠:産婦人科の探し方
妊娠に気づいたらまず最初に、家から近くて、かつ評判の良い産婦人科を探します。
私の場合、近くのエリアで出産した友人がおらず、口コミはインターネットで調べるしかありませんでした。Googleで 「obgyn」で検索し、マップで家までの距離をはかりつつ、口コミが悪いものを振るい落としていきました。
アメリカのクリニックは、場所によっては非常に評判が悪い場所があります。
不衛生、待ち時間が長すぎる、患者を置いて先生が外出してしまった、受付の電話が繋がらない、など…アメリカあるあるですよね。万が一、体調がわるくなったとき、すぐに連絡できるクリニックがいい。あまりにもひどいクリニックには行きたくないという思いがありました。
そして、お腹が大きくなっても通いやすい位置にあり、口コミ評判が良い、A産婦人科クリニックをみつけました。
確認するポイント・・・
★病院の評判(ネット、口コミ)
★立地・駐車場など、通いやすさをチェック
加入している保険の確認(妊娠・出産をカバーするか)
通常、アメリカの健康保険の場合は、妊娠・出産がカバーされます。しかし、留学生などの「海外旅行者保険」は、妊娠・出産が適応外なので、チェックしてください。
アメリカの健康保険ですが、日本人が多く入っている保険では、PPOとHMOの二種類があります。
PPOの保険なら、IN-Networkを確認
PPOの場合、希望の産婦人科クリニックが同じネットワークのPPOを受け付けていれば、受診できます。
まず、保険証に書かれた保険会社の電話番号にかけて、利用可能かを確認します。もしくは、会員のサイトからSerch by phisishanなどで検索できます。もしくは、クリニックに電話して、受付の人に自分の保険が使えるか、聞きます。
HMOの保険は、ホームドクター経由
HMOの場合、ホームドクター経由で希望のA産婦人科クリニックにいけるかどうか、確かめなければなりません。これがすごく、ややこしい!
PPOは直接産婦人科に行けますが、HMOはまず登録しているホームドクターを経由します。
一回ホームドクターに行って、そこで妊娠検査薬をして、やっと産婦人科を紹介してもらえます。
・新しい保険に変わったので、まだホームドクターにかかったことがありません。自動で指定されたホームドクターの口コミを調べると、最低最悪の評判で電話も繋がらない。
・ホームドクターを変更したとしても、今のプラン内容で、A産婦人科クリニックに紹介状を書いてもらえるのか謎。ホームドクター変更は月1回なので、不確定な状態で変更したくなかった。
そこで、保険会社に電話し、「A産婦人科クリニックに行きたいから、その紹介状をかけるホームドクターに変更したい」と伝えました。でも、これまたアメリカ保険あるあるですが、保険会社のコールセンターの人も、知識がある人とない人がいて…そもそもA産婦人科クリニックなんて存在しないとか、いろいろ言われるんですよ。汗
10回くらいかけたでしょうか。やっとHMOのカラクリが判りました・・・。
HMOの保険はとっても大変だった
要するに、ホームドクターから希望の産婦人科へ紹介状がかける条件は、
*産婦人科クリニックが、HMOの保険をとっているかどうか
*メディカルグループが同一かどうか
ということでした。
ということで、ここから大変な思いをしました。
①メディカルグループの確認:保険会社のHPにログインし、希望のクリニックが、自分の保険をとっているかを確認。さらに、そのクリニックのメディカルグループを確認。
②メディカルグループを元にホームドクターを探す:A産婦人科クリニックが加入していたのは、AAAメディカルグループでした。なので、今加入しているプランから、AAAメディカルグループを取っているホームドクターを探します。
③産婦人科にも直接確認:保険会社のサイトは、内容が更新されておらず実際はもう対応していない…なんてこともしょっちゅうあるので、念のため、直接クリニックにも確認するほうが無難です。その産婦人科では、すぐに対応してくれ、メディカルグループリストと、私の保険でいけるだろうホームドクターを数分で出してくれました。アメリカのクリニックの受付でこんなに数分で対応してくれるところは、極めて稀なので笑、雰囲気もよくこの病院に通いたいと思いました。
④ホームドクターを変更:行きたい産婦人科に紹介状を書けるホームドクターを指定。月末だったので、翌月からの切り替えに。
⑤やっと受診:新しい保険証はまだ届いていませんでしたがシステム上は変更されたので、希望の産婦人科に行けました。
アメリカで妊娠・出産するなら、HMOとPPOどちらが良いのか
上記のとおり、HMOで希望の産婦人科へ行く場合は、ものすごく大変でした。
PPOの保険であれば、ホームドクターを経由せずに希望のクリニックに行けるので、「どうしてHMOの保険にしちゃったんだろう」と最初は後悔しました。
しかし、よくよく調べるとPPOだから全て良しでもなかったんです。。
(何事もいい面、悪い面があるんですね・・・)
同年に出産した友人(PPO)と比較すると、私(HMO)のほうが、保険カバー後に支払う自己負担額が安い。とくに私のプランは、妊娠に関係する診察が、何パーセント負担ではなく、No Cargeで、窓口で支払うお金が発生しませんでした。
メディカルグループやホームドクター探しは、ややこしくストレスがたまりましたが、最初の1回だけのことだったので、それであとの負担が少なかったのはよかったかもしれません。
デメリットは、HMOだと日本人医師はほとんどいません。日本人医師がいる病院は、ほとんどがPPOです。
年に一度しか、保険を切り替えできないと思っていたのですが、実際は、妊娠の自由であれば保険内容は年次途中でも変えれるようです。
また、出産時に無保険の方は、妊婦用のメディケア(アメリカの公的医療保険)があるそうです。メディケアは、公的保険だから、いまいちではと思われるかもしれないんですが、実際は逆で、保険よりも最強だと思います。自己負担ほぼ無しです。加入時に所得の制限などがありますが、メキシカンの方はかなり上手に使っているようにおもいます。
気になる方は確認してみてください。
そうこうしてやっと、アメリカではじめての産婦人科に受診することができました。