アメリカで病院へ行きたいのですが、どうすればいいですか?
緊急性のある事態の場合、「911」にかけて救急車を呼びます。
それ以外の、病院・診療所の受診方法については、加入保険により異なります。
- アメリカの健康保険に加入
- 日本の海外旅行者保険に加入
- 無保険
のパターンがあるので、それぞれでご紹介します。
アメリカの病院の特徴
日本では「病院」とひとくくりで表現しますが、アメリカの「病院」は、3タイプあり、棲み分けがはっきりしています。
「クリニック(診療所)Clinic」ホームドクター(内科)を始め、皮膚科、耳鼻科などの専門医などもクリニックです。妊娠中は婦人科クリニックで診察です。基本的に予約していきます。
「アージェントケア(救急)Urgent Care」急な発熱や、怪我の際に行く施設です。応急処置をしてくれて、必要であれば病院のERを紹介されます。予約は不要(Walk-in可能)です。
「ホスピタル(病院)Hospital」手術や入院、出産などを扱う場所です。クリニックでは取り扱えない高度医療、長期入院を受ける場所です。
ER:Emergency Room(救急救命室)は、ホスピタルの中にあります。911で救急車を呼ぶと、最寄りのホスピタルのERに搬送されます。
ホームドクターに先にかかる
アメリカの医療制度でややこしいのは、緊急を要する状況で無い場合、まず、主治医 ホームドクターPrimary Care Physician / PCPやFamily Doctorと呼ばれる、内科医にかかる必要があるということです。内科を扱う病院は「Medical Clinic」などと呼ばれます。必要であれば、内科医から、適した専門医を紹介される仕組みになっています。
アメリカはオバマ政権以降、予防治療を入れるようなりました。年1回の健康診断(血圧・コレステロール検査、定期検診と予防接種など)は、予防医療はカバーされることがほどんどです。なので、まず保険に加入したら、一度は「健康診断」をふまえてカルテを作成しに行くことをおすすめします。
基本的に予約が必要
ホームドクターで、空きがあれば当日診てくれる場所もありますが、空きがない場合は、アージェントケアに行きます。自己判断でERに行くこともできますが、症状別で診療順が決まるため、数時間待たされる可能性があります。
軽度の場合、 CVSやウォルグリーンの中に、医師助手やナースプラクティショナーが常駐しているコンビニエンスケアがあります。軽度の病気、軽い擦り傷や火傷などを見てくれ、夜間や週末も対応するところが多いです。ただし、処方箋は発行できない場合あります。
血液検査は別施設
クリニックの定期検診では、採血は別施設の血液採血専門センターを案内されます。空腹時の採血が必要なので、朝イチで行くことをおすすめします。
処方箋は自動で薬局へ
少し前は、紙の処方箋をもらって、それを薬局に持参する方法だったのですが、コロナでオンライン受診が一般的に。現在では、病院から直接指定の薬局へ、処方箋が送られることが多くなりました。
そのため、クリニックでは、希望の受け取り薬局の住所を聞かれます。
薬局は、病院のビルにある薬局でも良いですし、CVSやWallgreenなど自宅の最寄りを指定してもかまいません。受診後、薬局に転送され準備完了になるまで1〜2時間ほどかかるので、私は自宅の最寄りを指定しています。
薬のリフィルはオンラインで簡単
定期的に服用する薬の場合、処方箋に「Refilが○回」との表記があります。薬局のオンラインアカウントに、処方箋内容が紐づけられているため、WEB上で簡単にリフィルを依頼できます。低容量ピルや、ヘルペスの薬など、その都度、ホームドクターにかかる必要がないので助かります。
ドライブスルーで薬の受け取り・予防接種
アメリカの薬局では、ドライブスルーで薬の受け取りや、予防接種が受けられる場所があります。薬局で準備が完了になると、テキストで引き取りのお知らせが届きます。
料金後払い
アメリカのクリニックは、受診時に、CoPay(コーペイ)というオフィス訪問フィーを払います。この金額は、加入の保険によって異なり、$15〜$80が相場です。
私の加入しているCIGNA PPOは、
Primary Care(ホームドクター受診) $35 / Specialist(専門医受診) $50 / Urgent Care $35 / ER $150
これは、とにかくその場所に受診したらミニマムでかかる、受付料金のようなものです。
その後、治療に応じて必要になった費用を、クリニックと保険会社で計算されたのち、あとから郵送で請求書が送られてくることが多いです。なので、当日にいくら医療費がかかったのかはわからず、数ヶ月後に請求書でわかります。
加入保険によってカバー率(50%〜90%)は異なります。カバー率が高い保険ほど、月額保険料は高いです。また、年間のトータル医療費によっても自己負担額が変わります。私の場合は、一般的な診療はPrimary Careの費用内で収まることがほとんどでした。例:ヘルペス薬の処方、外耳炎の抗生物質処方など 。専門的な治療や検査は別検査(費用)になる可能性があります。
アメリカで病院へ行く:米国健康保険加入者
加入保険が、PPOかHMOかなどで受診できる病院が異なります。
基本はホームドクターを受診します。(PPOの場合は、直接専門医にかかれます)
必要な場合は、専門医が紹介されます。専門医での受診・詳細な検査などに進みます。
処方箋は、病院から薬局へ送られます。
PPOの保険の場合は、保険会社に先に確認をとり、使えることが確認できれば、いきなり専門医にかかることができます。
たとえば、ぎっくり腰になったとき、HMOの保険の場合は、ホームドクターに行き、その後、カイロなどの専門医を紹介してもらう。PPOの場合は、行きたいカイロの専門医を探して、保険会社に確認したら、すぐにカイロに行けます。HMOのほうがワンステップ多くなるので、手間ですが、月額費用は抑えめです。
アメリカで病院へ行く:海外旅行者保険
アメリカの医療費は高額ですが、海外旅行者保険はキャッシュレス&自己負担ゼロで受診できる最強の保険です。留学生や短期滞在の方は、加入された方が良いです。
熱が出たり、慣れない食べ物でお腹をこわしたり、突発的なアレルギーなどは、よくあります。留学中に具合がわるくなったら、我慢せず病院に行ったほうがいいです。アメリカ人より、気軽に病院に行けるのは海外旅行者保険の醍醐味です。
通常、渡米後の加入は認められていないため、出国前の契約が必要です。
行きたい病院に電話して、「Travel insurance」が利用できるかを確認します。米系の場合、受付の人が処理方法を知らない場合があります。保険会社にも念のため確認します。(保険会社から、利用できる病院の案内のリストにあれば安心です)
まずホームドクター(内科)を受診し、必要であれば、専門医を紹介されます。腹痛や発熱などの場合は、抗生物質などを処方してもらえます。保険で確認がとれていれば、直接専門医にもかかることができます。
処方箋は、病院から薬局へ送られます。
受診日や、処方箋のレシートなどを添付して申請。チェックなどで自己負担で支払った薬の分が還付されます。病院の受診費などはもともとキャッシュレスなので、払っていません。
ロサンゼルスの日系のおすすめの病院は「大里クリニック」です。トーランスにある、日本語の通じるクリニックで、ドクターも受付の方も全員日本人です。海外旅行者保険利用可能。無保険者の場合も、相談してみてください。
アメリカで病院へ行く:無保険
アメリカには国民皆保険制度はありませんが、加入は推奨されており、州によっては無保険者に対して罰則(カリフォルニアの場合、世帯収入の2.5%、または成人1人当たり750ドル以上:2021年)を設けている場合があります。
しかし、短期滞在などの旅行者で無保険、もしくは歯科などの特定の治療が保険の対象外だった…なんていうときもあるとおもいます。
その場合は、「病院との直接交渉」になります。保険が無い旨を相談すると、キャッシュ払いなどの提案をしてくれる病院が多いので、聞いてみてください。
メディカル(Medi-Cal)…アメリカの低所得者向け健康保険で、医療をほぼ無料で受けられる保険です。政府規定のPoverty Levelsに下回る年収の場合、利用できるようになりますが、永住権申請中・予定の方は、利用が微妙なところです(要弁護士に確認)
アメリカで病院へ行く:英語
アメリカ英語で、病院に行く「I will go to the hospital」というと、何か大きな病状があるのかな、と思ってしまうので、定期検診やクリニックの受診は、「Doctor’s checkup」、「Doctor’s appointment」の表現が一般的に使われています。
アメリカで病院:まとめ
アメリカで、病院・医療サービスを受けるには、加入している保険が、アメリカのものか、日本のものかなどで異なります。